イギリス留学 ざっくり日記

大学院で社会開発を学んだ話

修羅場の図書館

今回は私が学生時代の大半を過ごした、大学の図書館について書きます。

進学してしばらくは、それまでの仕事をする日々から、1日の大半を「勉強」しかも「自習」に費やす生活に慣れるまで大変でした。自宅だとつい他のことをしてしまうので、強制的に勉強に集中出来る大学の図書館にほぼ毎日通っていました。

私の大学の図書館は1つしかなく年々増え続ける生徒に対して明らかに座席数が足りませんでした。コンピュータールームなど他の施設もあるものの、立地が良く本もパソコンも利用できる図書館はやはり人気でいつも込み合っていました。そして学期末(学部生にとっての試験前、大学院生のとっての課題提出前)には超絶込み合い、不快指数は最高潮に達します。

少し説明しますと、図書館は24時間利用可能です。4階建てで、用途ごとにいくつかのセクション(会話厳禁のSilent Sectionから多少話せるGroup Sectionまで)に分かれています。蓋がついた容器に入っていれば飲み物持参可能なので、カフェで買ったコーヒーとか持ち込めたり、飲み水補給場所があるので持参したペットボトルの水を入れられたりと何かと便利でした。私は大きなモニター付きのパソコンが設置されている場所に朝から夕方まで居座ることが多かったのですが、色々な人がいて印象深かったのでそれを少し紹介します。

・印象に残るあの人①ずっと食べている人
 ある時私の前に座った人がおもむろにカバンから出したサンドイッチ的な何かを食べ始めました。図書館で食事は禁止ですが見つからない程度に食べている人はけっこういたので、彼女もそうかなと思っていました。10時頃だったと思います。私はお昼ご飯何食べようかなーとか思いながら、パソコンで文献を読んでいました。それから1時間くらいたって「ポリポリポリ・・・」と軽快な音が聞こえ、また彼女が何かを食べているのが分かりました。それから30分後、そしてそれから1時間後・・・と彼女が食べ続けるので、4回目には「お腹痛くなるんじゃないかな、大丈夫かな」と余計な心配をしてしまいました。別の日にも近くで誰かがずっと何かを食べている音(「パクパクパクパク、ゴクゴク・・・ガサっ、パリパリパリ・・・」)が聞こえてとてもシュールでした。
後日友達と話していたら、図書館でその子の近くに座っていた人はずっと水を飲んではトイレに行っていたそうです。「あれはストレスのせいだろうねえ」と言っていて、勉強に集中できないと飲食をしたくなる気持ちはすごく分かるねと同意し合いました。私はエッセイ提出が近づくと胸やけがして物が食べられず水分ばかりをとっていましたが、友達はずっと食べてしまう、と言っていました。

・印象に残る人々②友達以上恋人未満の二人(多分)
 図書館で偶然友達に会うと嬉しいですし、それが孤独にエッセイを書いている時なら尚更です。ということで、別の日に私の向かい側に座っていた女の人はそれまで静かだったのですが、男友達が「久しぶりー」と話しかけ横に座ったとたんに満面の笑みで話し始めました。座っていた場所は会話禁止のスペースだったので、周りの人々はチラッと二人を見たり、イヤホンをつけはじめたりと気にしているのが分かりました。2人は「大声出すと怒られちゃうね」とか笑いあって声を少し落とすもののすぐにまた声が大きくなって・・・を繰り返します。弾む(二人の)会話。高まる(周りの)ストレス。
・・・私はつい、「仲いいな、しかし悪いけど煩いな。ボディタッチのなさかげんから友達同士っぽいけどお互いまんざらでもないかんじ・・・もう二人、付き合っちゃえばいいじゃーん」とか観察してしまい、こんなことに気を取られるのは集中してないからだと反省してイヤホンをつけました。お気に入りの音楽を聴きながらエッセイに集中しだして、気づいたら二人はいなくなっていたので、その後どうなったかは不明です・・・。

・印象に残る人③ずっと動いている人
私も同じ傾向にあるため気を付けているのですが、やたらと動く人がいます。そういう人は近くに座った瞬間に分かります、なぜなら大きな音がするからです。まずは「ガッ!(椅子をひく)ドスン!(カバンを机に置く)」の後に「ガサガサガサガサ・・・バン! ガサガサガサガサ・・・ドン!!(カバンから色んなものを机の上に出す音)」という音が聞こえます。その後、その人がパソコンの電源を入れてしばらく静かになったかなと思ったら、ふいに大きく動くのが目の端に見え、スマホを忙しなく操作しだしたりします。このように目の前で小刻みに動く&動作音が大きい&共有の机が衝撃で毎回小さく揺れる・・・が続くと、ただでさえ課題前で焦っているので「あああああーーー」と叫びたくなっていました。ただ、何回か経験してこういう方は1時間もしないうちに席を離れることが多いと分かり、しばし我慢するようにしていました。

ある時は生徒がお子さんを連れてきたようで、キャッキャッ!と可愛い笑い声とともに目の前を通り過ぎていきました。それまで少しどんよりしていた空気がふっと緩み、私も周りの人も笑顔になりました。その時図書館の中では利用者の雰囲気が良くも悪くも共有されるものだなあと思いました。
私は適度な緊張感が持てる図書館が好きで、みんな頑張っているから私もやらなきゃと思えたりしました。自分の時間とお金をほぼ全て勉強に費やせるなんて恵まれていることは実感しつつも、窓から見えるきれいな青空を見ながら「こんな天気がいい日にいつもいつも籠って勉強なんて・・・大学院が修了したら遊びまくるぞ!!」と思ったりしました。
レンガ造りの、あのこぢんまりとした大学の図書館にもう行くことはないですが、悲喜こもごもの思い出が詰まった愛着のある場所です。

写真のご紹介:晴れた日の一枚(緑に癒されつつもずっと図書館にいるのが切なくて撮影しました)

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