イギリス留学 ざっくり日記

大学院で社会開発を学んだ話

12.各先生とのエピソード

特にエッセイを書くときに助けてくれた先生2人について書きます。仮にA先生とB先生としています。他の方の参考になればと思い、共有します。

1)A先生

まず、秋学期に受講した科目のA先生とのエピソードをご紹介します。彼のやさしさとアドバイスのおかげで一番きつい時期を乗り越えられたと思い、本当に感謝しています。

・きっかけ:A先生への質問
きっかけは2回目のエッセイの提出を控えていた12月の最後の授業でした。A先生はもともと優しい方で、最初のエッセイでも書き方を丁寧に解説してくれたのですが、2回目のエッセイに関しても質問出来る時間を授業中に設けてくれました。

その時の私は、最初のエッセイの点数が悪く自分の知的かつ英語能力の低さに落ち込んでいました。そこで何とかこの気持ちを打破したく、A先生へ「エッセイの下書きは、母語第二外国語である英語のどちらで書いた方が良いと思いますか?」と質問をしました。

A先生に聞いた理由は、彼にとっての第2外国語であるスペイン語でその人が論文を書くこともあると以前話していたからです。その時の私は、最初からアウトラインや下書きを英語で書くと分析が浅くなるような気がしていたのですが、日本語で書くと英語に訳す手間がかかるためどうすべきか迷っていたのでした。

・A先生の対応
A先生はまず私の質問へ丁寧に回答してくれました。曰く、母語第二外国語のどちらで論文の下書きを書くのが良いか自分でも分からないこと、状況や人に依るため一概には言えず、自分も試行錯誤の途中である、とのことでした。

次に、他の英語が第二外国語であるコースメートにも質問してくれ、3人ともエッセイは最初から英語で書くと答えました。それから先生は「つい他と比べてしまうかもしれないけれど、以前の自分と比べて成長しているかどうかに意識を向けた方が良いと思うよ。」、そして「第二外国語でエッセイを書くことは大変だと思うけどその大変さを乗り越えた時、君はその分何かを得ているからその苦しさは報われるからね。」と、ものすごく優しく話してくれました。

・私の反応
私は一言回答くれたらいいな、くらいの気持ちだったので、A先生が時間をかけて回答してくれたことに驚くとともに本当に申し訳ない気持ちになりました。また、他のコースメートは私よりも英語も知識量も上だと感じていたので、私の質問で10分以上も時間をとってしまったことにも罪悪感を抱きました。

また、自分が英語能力のなさに甘えて、努力をしていなかったことにも気づきました。最初のエッセイは苦しみましたが、気分転換と称して何時間もネットサーフィンをしたりして、全力で準備したかというと、決してそうではなかったからです。

・気持ちの変化
たっぷり3日くらい「能力が足りないのに、努力もせずに愚痴って、他の人に迷惑をかけた・・。」と落ち込んでいたのですが、自分を責めるのにも疲れて、ふと「じゃあ最大限努力をすればいいじゃん。」と開き直りました。英文を読むのも書くのも人より遅いのであれば、人より時間をかければいいだけでしょ、と当たり前のことに気づいたのでした。

・その後
それからは朝から夜まで、ひたすらエッセイ執筆を行いました。家では他のことをしてしまいそうだったので、図書館にずっとこもっていました。その時試しに、アウトラインは最初日本語で書いた後に英語で書きました。英語文献があまり理解できないときは、日本語に大まかに訳してそれを読んでみるということもしました。まずは何でもやってみようと思ったからです。

12月のイギリスは日照時間が短いので、家を出る時も帰るときも周りが暗くて、時間の間隔がなくなってきました。同じことを繰り返しているので曜日も分からなくなるのですが、爪が伸びていることに気づいて前回爪を切ってから1週間くらいが経ったのかなと思う感じでした。クリスマスもお正月も関係なくただひたすら読んで書いていました。

・結果
「出来る限り努力したかな」と思えるくらい取り組んだ2回目のエッセイは、最初のエッセイより9点点数が上がっていました。最初のエッセイがひどすぎたとはいえ、自分でも内容や書き方が改善したと思えるものが書けて嬉しかったです。

点数を受け取った後、A先生の研究室へエッセイのフィードバックを得るために訪問し、アドバイスの御礼を言いました。その時もエッセイの改善の余地を控えめながら色々アドバイスしてくれ、私の細かな質問にも答えてくれました。最後の最後まで、素晴らしい対応をしてくれて本当に嬉しかったです。

彼が言ってくれた「他人とではなく、以前の自分と比べて成長したかを考えた方が良い」「乗り越えたら、その分何かを得られるよ」という言葉は、今後上手くいかないことがあったら思い出して努力しよう、と思っています。そして、出来の悪い生徒にも最大限の気配りと優しさをくれた彼のように私も行動したいと思っています。 

2)B先生

もう一人、エッセイを書く際に助けてくれたB先生とのエピソードを紹介します。B先生は秋学期の授業を他の先生(C先生とします)と一緒に担当していた先生でしたが、厳しさと優しさの半分で接してくれたのでそれもとても勉強になりました。

・最初のエッセイ
最初のエッセイの提出前にアウトラインについて相談に行った際、アドバイスをしてくれたのですが、私には理解できないことが結構ありました。その後に考えたり調べたりしてB先生へ再度質問すべきだったのに時間がなく、分からないまま書き上げたエッセイは点数がとても低くなってしまいました。

そのエッセイへのB先生からの評価コメントには「英語にも内容にも問題があるので、自分からフィードバックを得るためにアポをすぐにとることや、大学の行っている留学生のための論文支援サービスを受けることを強く勧める。」と書いてありました。大学院の支援サービスは何回も利用していたのですが、それでもレベルが低い内容なのかとものすごく落ち込みました。

・B先生からのフィードバック
エッセイに関するフィードバックを受けにB先生の研究室に訪問すると、彼は意外にも優しく励ましてくれました。分析が浅いこと、エッセイの構成がルールに沿っていないことを正直に指摘しつつも、自分も英語は第二外国語だから論文を書く大変さは分かるよ。とにかく努力あるのみだけどアドバイスが必要だったらまた連絡してね、と言ってくれました。

・2回目のエッセイ
2回目のエッセイはB先生とは別のC先生が相談窓口となってくれたのですが、この方は極力アドバイスをしない方針だったのかアウトラインの相談をしてもほとんどコメントをもらえませんでした。C先生からは「アウトラインの書き方は人に依るから」と至極まっとうな意見をいただいたのですが、自分のアウトラインに自信がなかった私はとても不安でした。

またC先生はその訪問の後は休暇に入るので一切質問へは対応しないと言っていて、最初のエッセイのように分からないまま書いたら2回目のエッセイも点数が低いのではと心配になりました。そこで、B先生へメールでアウトラインを送り、良ければアドバイスをいただけたら有難いと連絡してみました。
その後B先生は返信をくれ、最初のエッセイと同じ問題があることを指摘してくれ具体的なアドバイスをくれました。

そのメールに追記してあった、「文献についてもアドバイスが欲しければ言ってね」という社交辞令にも甘え、自分が使うつもりの文献を送ったところ20くらい他の参照文献を送ってくれました。そして、先生が送ってくれた文献を読んで、自分の今まで読んでいた文献が偏っていたことに気づきました。

B先生のおかげで、自分のエッセイの課題(取り上げるテーマを広く設定しているため議論が浅くなりがち)と文献の偏り(自分の支持する論点ばかりを読んでいた)を改善出来ました。年末は大学が休みの日なので返信してもらって本当に申し訳なかったですが、B先生のアドバイスがなければ合格点に到達しなかったかもしれません。

・結果
こうやって執筆した2回目のエッセイは最初より点数が上がりました。また、自分の改善すべき点がB先生のおかげで明確になり対策が立てやすくなりました。特に、英語の文法や論文の構成が良くないことをはっきり言ってくれてとても感謝しています。
その後も他の先生からエッセイに対してコメントをもらうことがありましたが、内容以外の英語の改善点について詳細を指摘してくれる人はいませんでした。B先生から文献リストが送られてきたのは12月23日でしたが、私にとっては少し早いクリスマスプレゼントに思えたことを懐かしく思い返します。

このように、先生に手間をかけさせるのは申し訳なかったと思うものの、改善するためには時に自分から積極的にアドバイスをお願いすることの大切さを知った出来事です。先生が優しい方でアドバイスするよ、追加で質問しても良いよ、と言って下さる方であれば、最大限の感謝をして自分でも調べて考えたうえでその優しさに甘えるのも良いのではと思ったので書いておきます。