イギリス留学 ざっくり日記

大学院で社会開発を学んだ話

2.エッセイ基本

基礎知識を学ぶ方法について

私は最低限の基礎知識を独学で得たので、役に立った情報を共有したいと思います。私はイギリスの大学院で学ぶ前は、英語論文(論文というと大まかですが、大学院では修士論文以外は『エッセイ』を書きました。)の書き方の指導を受けたことはありませんでした。修士前にオプションで受講出来るプリセッショナル(Pre-sessional course)を受けることは有益だと思いますが、私は金銭的に厳しく受講していないので、以下のように自学しました。

・8月(入学前)・・・英語論文の書き方(日本語)の本を2冊メモしつつ読む。各大学のウェブサイトに書いてある情報を読む。

・9月(入学後)・・・・図書館で借りた英語論文の書き方(英語)の本を1冊飛ばしながら読む。そして、大学のエッセイの書き方セミナー(無料)を何回か受ける。

・10月以降・・・試行錯誤しながら、分からないことを調べたり聞いたりしてエッセイ準備をする。 

論文の基本について

1)日本語と英語の論文の違い
まず論文といっても日本語で理解されているものと英語論文で書くべきものは違うことはよく指摘されます。特に私のように、日本の大学でだいぶ前に日本語の卒業論文を書いたけれど、昔のことなので論文の書き方自体を忘れている、という人はある程度時間をとって基礎を勉強した方が良いと思います。また、その後も日本での論文の書き方になっていないかを定期的に確認した方が良いとも感じています。

2)最低限の知っていた方が良いこと
英語圏のAcademic Writingの定義そして、その独特のルールについて学ぶことは必須ですが、日本語の本では『英語論文の書き方入門』 迫 桂 (著), 徳永 聡子 (著)が簡潔に必須事項が書いてあり、役に立ちました。

また、英語のテキストはたくさんありますし、大学の図書館にもあるので入学してから借りて読んでみても良いと思います。入学前に学ぶ際は、英語のオンラインでページも役に立つと思います。最低限の必要な知識が得られました。

役立ったサイトについて「4.役立った資料」記事で紹介しています。

 3)違法行為(Misconduct)について
私が大学にいた10年前は印刷した論文を提出していたのですが、大学院では全てオンラインで提出でした。そこで気をつけないと無意識に違法行為をしてしまう危険性があり、詳しくは「3.不正行為」の記事で紹介します。 

4)論文がDescriptive(記述的、叙述的)と評価され、低い点数を取ることについて

これはどの学校で学んだかに依るとも思うのですが、私は日本の小論文のように書く癖がなかなか抜けず、論文へのコメントとしてlack of analysisやdescriptiveと評価されていました。

では、評価を上げるためにどう書けば良いのでしょうか?

私が読んだ修士論文の書き方についての本’Succeeding with Your Master’s Dissertation: Step-by-step Handbook, 4th Edition’に書いてあったことは、Analyticalに書くことが望ましいというものでした。その本の117ページにはCritical evaluationとdescriptionの違いは、Critical thinkingが追加されているかどうかである、ということでLiterature Reviewを良くするための方法が紹介されていたりしました。 

そもそも、なぜdescriptiveは良くないのでしょうか?

個人的にはdescriptiveな文章も好きだったので、どうしても気になり、勇気を出して先生に聞いて見ました。そしたらあまりに初歩的な質問だったからか驚いた後、「そりゃあ・・・Blooms taxonomy of cognitive learningがあるし・・・」とボソボソと先生は回答して下さいました。これ以上無知な質問したら失礼かもと思いその時はそれ以上聞かず、後でネット検索しました。

また、上記’Succeeding with~’の本の123ページにもBlooms taxonomyが紹介してあり、修士論文はcognitive skillをどれだけ獲得したかで評価されると書いてありました。エッセイもそうなのかなと思います。

では、教育目標分類とは何でしょうか?

出典:教育目標分類とは - コトバンク (kotobank.jp)

教育活動を通じて達成されるべき目標を体系づけたもの。ブルームらのまとめた教育目標分類(タキソノミー)が最も有名。 ブルームらの分類では、数多くの教育目標を「認知的領域」「情緒的領域」「精神運動的領域」の3領域に分け、それぞれの領域ごとに教育目標を系列化した。もとは学校教育の現場で授業のカリキュラムを組んだり、生徒の習得状況を測定するための枠組みとして提唱されたが、教育内容より学習過程に焦点を当てているため、どのような学習においても共通する目標を整理しているといえる。

・・・なるほど、どのような学習においても共通する目標なんだ、と納得したところで3分類の1つ「認知的領域」については以下のように説明されています。

出典:認知的領域とは - コトバンク (kotobank.jp)

ブルームらの教育目標分類の1領域。教育内容の理解・習得に関する目標からなる。以下のような階層をもち、各階層にはさらに細かい目標が設定されている。

1.知識 …… 概念・基準・方法・手続きなどを知っている、言える

2.理解 …… 知識を別の言葉で言い換えられる、説明や要約ができる

3.応用 …… 知識を新しい具体的な場面に適用できる

4.分析 …… 知識の内容を、構成要素や部分に分解できる

5.総合 …… 知識の構成要素や部分をまとめて、新しい全体を構成できる

6.評価 …… 目的や基準に照らして、知識の価値を判断できる

 ・・・1956年に開発されたこの分類ですが、上記の説明は2001年に開発された改訂版タキソノミーのものです。ただ大まかな意味は変わっていないと感じています。全くの私見ですが、私の論文は応用レベルだと50点代、分析レベルだと60点以上を取れた気がしています。

まあ、どのように具体的にanalyticalに書くかは毎回苦戦していましたが、根底にある考えを理解することで「あんなに勉強したけど、エッセイがdescriptiveだからこの分類では教育目標の達成状況が低い、として低い点数をもらったのね。」と納得して次の論文に取り組むことが出来ました。