イギリス留学 ざっくり日記

大学院で社会開発を学んだ話

大学院の授業の流れ

今回はイギリスの大学院の1年間の授業の流れについて書きます。私も疑問だったし他の人からも質問があったのが、「授業ってどれくらいあるの?」「どんな感じで進むの?」というものでした。私が所属したコースだけのお話しにはなりますが、少しお伝えしたいと思います。

・1年間の流れ
2学期に分けられ、秋学期は9月~12月、春学期は翌年の2月~5月です。学期ごとに2つのモジュール(科目)を取るので、全部で受けた科目は4つでした。1つの科目は12週間で構成されていて、1週間にLecture(講義)1時間とDiscussion(議論)2時間あります。
つまり1週間で授業の拘束時間合計はわずか6時間なのです。最初は余裕がありそうだなと思ったのですが、実際は授業の準備と課題(エッセイ)を行うのにずっと追われていて、大学院は自習が主なんだと実感しました。

・講義の様子
その週のテーマについて先生がスライドを使って説明する、というスタイルが多かったです。科目によっては1日に3時間まとめて学ぶ構成になっていて、その場合は、講義→生徒と議論→講義と少しずつ進んでいきます。

・議論の様子
テーマや文献をもとに全体で話し合ったり、4~6人の生徒でしばらく意見交換して全体に共有したりしていました。私のクラスは議論を戦わせる、というよりは気さくな感じで話し合う、という雰囲気が多かったです。ただ取り扱いが難しい問題については先生に激しく反論する生徒がいたりと少し緊張感がある回もありました。授業中の発言やグループでの発表(1~2回ありました)が直接の評価対象にならないためか、質問する人は勉強熱心な人や優秀な人に限られていて、先生が生徒を当てたりすることもありました。

個人的には数人での議論の多い授業が好きでした。議論の流れについていくのは大変でしたが、少ない人数だとより個人的な考えや経験(「自分が前職で担当していたプロジェクトでは~」みたいなもの)を聞けて面白かったですし、それを通じて仲良くなったりしたりするのが嬉しかったです。

・「学ぶ」プロセスの経験
授業は面白いのですが、知識も英語力も足りない私にとって、内容を深く理解してそれを議論するのは大変でした。ただ学期を通して学びを深めるプロセスを経験できた気がしています。それは以下の流れでした。
① トピックの基礎知識や主な議論について知る
② 先生や生徒と話したり質問したりすることで理解を深める
③ その中でも興味がある事柄についてエッセイを書き、自分の議論を論理的に展開する
④ エッセイの点数やコメントから自分の学びが学術的にどのレベルか先生の評価が分かる

このプロセスの経験は大きな学びでした。というのも、これまで私は自分の知りたいことを本やネットで調べた後、理解出来た感じがしないことや自分の意見に自信が持てないことが悩みでした。しかし大学院で、基本を学び、関連の議論まで理解したうえで、自分の意見を主張する、というプロセスを何回か経験をし「知識を理解してそれを使う」ことはそれほどすぐに実現しないんだなあと実感したのでした。

例えばエッセイで取り上げたテーマについて考えると、授業で3時間以上みっちり基礎知識と関連の主な議論を集中的に教えてもらって、それから数ヵ月関連する文献を読んで、エッセイとして5000文字書きました。それでも私は十分理解出来たと感じないので「あんなに勉強したのに!」と驚いたのでした。
ただ、集中的に調べて書いたことは自分の主張を話せますし反論にも返せるくらいの知識や分析力はつくこと、また、調べる前に「学んだことをどう活用したいのか」を考えることの重要性も分かりました。

また、大学院で自分の関心があることを思う存分人と話せたことも本当に楽しい思い出です。私は今まであまり開発援助について話をする人が周りにおらず、いても知識量や主張の違いのせいか、話が通じている気があまりしませんでした。そのため、基礎知識をお互い分かった上で応用の話がコースメイトと出来たり、自分の考えに別の視点で意見がもらえたりして、本当に嬉しかったです。自分の知識不足が常にもどかしくもありましたが、貴重な時間だったなあと今は懐かしく思い出します。

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