イギリス留学 ざっくり日記

大学院で社会開発を学んだ話

開発・社会開発の基礎を学べた本

今回は開発と社会開発の基礎を学べた本を3冊ご紹介します。

私は大学院で勉強をして改めて、自分の基礎知識不足を痛感しました。大学院での必須文献は中級レベルで、歴史的背景や関連情報について知らないと少ししか理解できなかったからです。そのためまずは日本語の入門書で基礎を学んだ後に再度大学院の文献を読んだところ、読む速度や理解の深さが驚くほど向上しました。
たくさん素晴らしい本があると思うのですが、私が調べた範囲で特に勉強になった3冊をご紹介します。内容が気になった方は、目次も是非ご覧下さいませ。

1.「開発」を包括的に学べた本

「国際開発論」斎藤文彦
内容:21世紀の国際社会の合意である「ミレニアム開発目標」の実現によって、いかに貧困を削減するか。近年、欧米で盛んな開発研究の成果をふまえつつ、著者の体験を交え、開発途上国の抱えるさまざまな問題とその解決策を総合的に考察する。(「BOOK」データベースより抜粋)

この本を読む前には私の中で基礎が整理できていないため、大学院の必須文献を読むと基本的な疑問がいちいち浮かんできました。例えば、「貧しさの定義の話になると、絶対的貧困とか人間開発指数とかいっぱい出てくるけど、最低限どれを知るべきなの!?」といった混乱や、新自由主義とか脱開発とか当たり前のように出てくるけど何のこと!?私の周りでそんなこと知ってる人ほとんどいないよ!?(逆ギレ)」といったもやもやです。その後、この本に載っている図解や分類を読んでやっと「なるほど!」と全体を理解することが出来ました。

・目次は以下からご覧になれます。
国際開発論|日本評論社
・第1章「国際開発論とは何か」が以下から試し読み出来ますhttps://www.world.ryukoku.ac.jp/~fumis96/firstchapid.pdf

 2.社会学から見た「開発」について学べた本

「開発援助の社会学」佐藤 寛 著
内容:20世紀に人類史上初めて登場した「開発援助」という現象は、価値観を異にするアクター間の相互行為である。援助をはさんで向かい合う「援助者=我々」と「被援助者=彼ら」の間に生起する事象の考察を通して、関与の学としての「開発援助の社会学」を模索する。(「BOOK」データベースより抜粋)

 この本からは、開発の基礎と共にそれを社会学でどう捉えるのかを学ぶことが出来ました。前半は理論、後半は事例が紹介されています。私はこれを協力隊で活動をしている時に人から勧められて読んだのですが、自分が何となく疑問に思っていたり悩んでいたりしたことが、理論と実践に裏付けされた・明確な・分かりやすい言葉で説明されていて本当に感動しました。この本から得た様々な気づきが、私のその後の後半の質を上げ精神的にも支えてくれたと思っています。

・目次は以下からご覧になれます
開発援助の社会学 - ジェトロ・アジア経済研究所

3.社会開発について学べた本

「テキスト 社会開発」佐藤 寛、アジア経済研究所開発スクール 編
内容紹介:貧困削減の手法として、近年注目を浴びる社会開発。その狙い、手法、課題を、具体例に則しつつ現場経験豊かな執筆陣が説く。(「日本評論社」ホームページより抜粋)

それまで何となくしか理解していなかった社会開発について、基礎から分野別の開発課題までコンパクトに分かりやすくまとまっています。この本を読んで「開発」と「社会開発」の共通点・異なる点を理解することが出来ました。

・目次は以下からご覧になれます。
テキスト:社会開発—貧困削減への新たな道筋— - ジェトロ・アジア経済研究所

上記3冊は、一度読んで概要を理解して、授業や課題で関連する話題が出たら読み直す、という形で参照していました。その他には、各モジュールの先生が推薦文献として挙げられていた入門書的な本もとても役立ちました。
また、余談ですが、先輩から受けたものすごくためになったアドバイスが、大学院の課題文献で日本語の翻訳版があれば、それを読む!というものでした。
私は事前に同じコースを修了した人に過去のハンドブック(必須・推奨文献がたくさん掲載しています)を共有してもらえたので、日本で手に入る書籍は事前に読んで大事な箇所はスキャンしたり、タイピングしてまとめたりしました。なぜかというと本によっては電子書籍がなく、国外に出ると手に入れるのに郵送費がかかってしまうからです。英語文献をたくさん読み慣れることは大切なのですが、母語(日本語)で理解すると英語の文献も早く理解出来たので、使い分けが大切だと感じました。

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